夢のトイレ9

夢のトイレ9 ボクは新しい新幹線のシートに座っている自分を思い描いた。すでにニュースなどで何度か車内の映像を見ていたので想像するのは容易だった。ただ、頭の中に実際に浮かんだ光景は予想していたものとは、かなり違っていた。いや、絵的には全く同じなのだ。でも感覚的に何かが違う。そう、シートの座り心地とか、車内の香りとか、腕に感じるアームレストの感触とか。何もボクはそこまで想像はしていなかった。なのに今、ボクは間違いなく新幹線のグランクラスのシートに座っているのだ。ボクは車で出発したと思っていたが、それは単なるボクの勘違いだったのか。いや、決してそんなハズはない。だって、北海道新幹線はまだ開業していないのだから。 (つづく)