SF超大作「続・大福」第6話

 

6話  「携帯電話」

 

家の前には歩く人の姿はなく、ひっそりと静まり返っていた。監視されているような気配も感じない。ゆっくり静かに家の前に車を駐車。なるべく音を立てないように車を降りた。玄関の前に立ち再び後ろを振り返った。

「誰もいない。

それを確認し、家の中に入った。

「これからどうしよう。 そうだ、まずは彼女に電話だ。」

朝から驚きの連続だったので、彼女に電話するのすら忘れていた。でもおかしい。たいていは毎日彼女からメールが来るのに、今日は1度も携帯は鳴ってない。急いで携帯をズボンのポケットから取り出して見るが、やはり着信はなかった。しかも、よく考えると彼女と最後に会ってから1週間も経っているのに、その間に一度も連絡がないというのもおかしい。通話履歴から彼女の名前を選び通話ボタンを押した。

「おかけになった番号は現在電源が入っていないか、電波が届かない場所にあります…

どうした、一体どうしたんだ。 なぜ出ない? それから何度か電話をかけ直したが彼女とはつながらなかった。

再び外に出て車を走らせた。もちろん行き先は彼女の住むアパート。昼間止んでいた雪が再び降り始めていた。彼女のアパートまでは、車なら10分ほど。でも今は、11秒がとても長く感じた。信号で止まるたびに非常に苛立った。左手に見える歩行者用の青信号が点滅し始めた。それで少し苛立ちから解放されたと思った瞬間。

「あっ、マズイ。」

奥に水色の軽自動車が交差点に進入してくるのが見えたのだ。軽自動車は、こちらに気付いたのか分からないが、そのまま目の前を横切って行ってしまった。

信号が青に変わった。でもすぐには発進できなかった。しばらくそのまま息をひそめるように停車し続けていると、後ろから来た車にクラクションを鳴らされた。仕方なくゆっくりと車を発進させる。あの車の去って行った右の方を見ながら交差点を直進。すでに軽自動車の姿は無かった。嫌な汗がボクの手のひらや脇の下を濡らしていた。

 

(第6話のあとがき)

 

さてさて、本日もなんとかお話をつなぐことができました。小説の中の”ボク”には、一体何がおこっているのか? そしてまた、この謎の追跡者は一体誰なのか?  ふふふふふふ。 それは今のところボクにも分からないのですぅ~♪  でもこんなんでこの先大丈夫かなぁ…

さて、お正月が明けました。今日 職場に来てみると全てが平常業務に戻っていて、楽しい正月気分が 容赦のない猛烈な力で無理矢理剥ぎ取られてしまったようで、毎年のこととはいえ何だかとても切なくなってしまいました。

とはいえ、お正月のお酒が格別なのも普段の勤労があるから、と自分に言い聞かせて本年もスタートするのです。まずは本日、滞りなく仕事を済ませて今夜も晩酌を楽しみます。本日も見て下さってありがとうございます。

 

(おしまい)