SF超大作「続・大福」第2話

2話 「欠勤」

 

家を出るのと同時に雪が降り始めた。1226日以降の「ボク」がどうしていたのか、その答えを一刻も早く知りたくて、降りしきる雪の中、車のスピードを上げた。幸い、お正月の早朝ということもあって、道路は空いていて、職場にはいつもより5分ほど早く到着した。

ビルの3階に職場はある。ビルに入ると、幸運なことにエレベーターが1階で止まっていた。誰かが上でエレベーターを呼んでしまわぬように、急いでエレベータに駆けつけ、上昇ボタンを押した。エレベーターのボックスに入り、肩で何度か息をした。最近、運動不足が身にしみる。

3階の職場に着き、まずはタイムカードを確認してみた。カードの刻印は1225日が最後になっていた。つまり、ボクは1226日以降、どうも会社には出勤していなかったようだ。念のため、他の社員のカードも見てみた。どのカードも1230日まで刻印されている。つまり、世の中から1226日以降の1週間が消え去ったのではなく、ボクの記憶からのみ消えたのだと分かった。  

「この間、ボクは一体どこで何をしてたのだろう?」

職場の自分の部屋へ行き、机の周りを見渡した。特別な変化は見られない。椅子に座り、部屋の中を見渡した。今日は休日当番なので、ボク以外に誰も出勤してきている者はいない。部屋の東側に仕事のスケジュールの書かれた大きなホワイトボードがある。見るとそこには1226日から31日まで赤色の矢印が引かれ、その下にボクの名前が書いてあった。そして、その名前の前には“休”の印が。どうやらボクは、休みをとっていたようだ。 その後、再び立ち上がり部屋の中を歩き回ったが、失われた1週間を知る手がかりは何も見つけられなかった。気持ちが落ち着かぬまま、いたし方なく年末にやり残した仕事を片付け始めた。

そしてお昼。持参した弁当を食べ始め思わずむせ返った。弁当は、昨夜飲んで帰る時、コンビニで買ってあったものだった。家を出る時に冷蔵庫から持ち出し、職場の電子レンジでチンして食べ始めたのだが、これがすでに傷んでいた。賞味期限を見ると、1226日正午となっていた。  

「そうだ、そうなんだ。昨日の晩に買ったと思ってたけど、実際に買ったのは1週間近く前なんだ。冷蔵庫に入れてたとはいえ、さすがに1週間も経ったらこうなるよなあ。」

今の今まで、今ボクの身に起きていることは、何かの冗談か、ささいな勘違いのようなものでは、という疑念、というか期待のようなものがボクの心のどこかに残っていたのだが、この瞬間、一切の希望を失った。

 

☆第2話のあとがき☆

 

元日から始まったボクのあほバカSF超大作「続・大福」も、本日第2話に至り、すでに行く先を見失っています。「大福」の時も日々の思いつきで書いてたのだけど、「続・大福」も全く同じ。明日は話をどう進めようか。果たして本日の第2話からスムーズにつながるストーリーが思いつくのか。非常に心配です。はぁ…

とりあえず今日もお正月だし、まだお昼だけども晩酌を始めちゃお 

本日も見て下さってありがとうございます。 

 

(おしまい)